ツバメの巣の効用追求

美津村（神戸市西区）
健康美容食品開発


ツバメの巣の効用追求


新製品のアイデアをぶつける＝神戸市西区見津が丘１、美津村

　三十ミリリットル入りで一万五百円。コンビニやドラッグストアなどで目にする健康飲料とはけたが違う。高級食材・ツバメの巣から抽出したエキスと、美肌効果のあるコラーゲンがふんだんに含まれている。「もともと道楽で作ったもの。これだけ高品質のものが作れるという、社のシンボルのようなものです」と美津村の社長、青山晃（５７）は笑う。

　ツバメの巣との出合いは三十代のころ。貿易業を営む青山の元に、知人が大量の注文を寄せた。目的が分からぬまま一年かけて探し回り、インドネシアやマレーシアなど東南アジア各国で買い付けた。

　後になって、ツバメの巣に含まれる成分「シアル酸」を使い、ある薬品会社が新薬開発を進めていたと知った。しかし、この社は開発から撤退。すでに巣をトン単位で仕入れていた青山は、「日ごろから飲めるような、健康食品に応用できないか」と考える。かつて中国で、皇帝の薬膳（やくぜん）にも使われたというツバメの巣。健康に効果のある貴重な食材として生かそうとした。

　一九九七年、製薬会社の研究者らと起業し、早速巣のエキスを抽出・凝縮するプラントの設計に着手。精製方法の改良を重ね商品開発に取り組んだ。

　東南アジアに生息するアナツバメの巣は、オスのだ液で作られる。その成分を抽出しコラーゲンやヒアルロン酸などと組み合わせると、皮膚細胞の新生を促進するなど、美容や健康への効果が高まることを突き止めた。

　飲料や栄養補助食品（サプリメント）などはエステティックサロンや薬局で販売。他社製品と比べ高額だが「効果が速い」と人気になった。

　この秋、本社と研究所を神戸市東灘区から、同市西区の複合産業団地「神戸テクノ・ロジスティックパーク」に移転、再スタートを切った。ガラス張りのしゃれた外観は団地内でも珍しく、目を引く。総事業費は約一億八千万円と年商を上回る大型投資だったが、「取引先や金融機関の理解を得られたのが自信になった」という。

　「小さな会社だが、誠実にものづくりをしてきた」と青山。「とにかく、巣のエキスにほれ込んでいる。一過性のブームにしたくない」という。自分の大事な人に自信を持って勧められるような、確実に結果の出るものを―。「生まれも育ちも神戸。この地からいいものを発信していきたい」と意気込んだ。

神戸新聞 - 2007/12/04


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